主人公の条件。

僕はこれまでの人生の中で、僕なりにそれなりの物語を読んで、見て、聞いて、触れて、プレイしてきた。その中でたくさんの登場人物に出会い、憧れ、尊敬し、共感し、反発し、感情移入し、時には操ることで、作品ごとに限られた物語の中を共に生きてきた。

沢山の影響を受け、僕も主人公になりたい。
強くなって、英雄になりたい。
そう考えるようになった。

良い年になって、今でもそれは変わらない。
しかし、僕は主人公には成れなかった。

なぜか？
それは僕が物語の登場人物ではないからだ。



それに、

それがHappy Endだろうが、Bad Endだろうが、to be continuedだろうが、物語は限られている。

しかし現実は命がある限り続く。
時代や価値観が変われば、正義と悪の境も曖昧になって行く。
今日の味方は、明日の敵かもしれない。
「主人公」とはある一つ側面、ある一つの見方でしかない。


だから様々な正義が混在し、ぶつかり合う現実の世界には、主人公など存在しない。仮に存在したとしても判別など出来やしない。





どちらにしても僕は主人公には成れない。

過去の因縁も、秘められた過去もない。
お約束で登場する「敵」も「ライバル」いない。
何かを変えられる力も、都合のいい能力もない。
バラ色な出会いも、共に命をかける仲間もいない。

僕には何もない。
空っぽだ。
おおよそ正義と呼べるものも何もない。
僕の人生からは、人に語って聞かせられる物語など紡ぎ出せない。


そもそも「主人公になろう」と思った時点で、僕にはそんな資格は最初からないのかもしれない。
物語の登場人物はそんなこと意識してない。
物語の中の人間が、読む人のことを意識してしまったら破綻してしまう。




いやいやいやいや。
そんなことはどうでもいい。
そんな理屈っぽい事は。



俺には。
俺の前には。
いや、俺の隣には、

ヒロインがいない！！！


長々と、ブツブツと、鬱々と書いて今更だが、これだろう原因はどう考えても。

リア充になりたい。




つまり、僕が主人公になるための条件、それは

出会いだ！


心踊るような、電撃が走るような、赤い身弾ける様な、

世界がまるで変わって、自分が自分でなくなるような、


そんな出会い。

人が変われるとしたら、それは「出会い」しかない。


これまでは気づけなかったけど、これからはきっと。

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